株式分割は会社の価値を変えない
株式分割とは、1株を複数の株に分けることです。1株を4株に分ければ株主の持ち株数は4倍になり、1株の価格はおよそ4分の1になります。会社全体の価値や株主の持ち分はそのままで、単位が変わるだけです。逆に複数の株を1株にまとめることを株式併合や逆分割と呼び、米国では株価が大きく下がった会社が取引所の上場基準などを理由に行うことがあります。韓国の例では、サムスン電子が2018年に50対1の株式分割を行い、1株の価格が大きく下がりました。米国でもよく知られた大型ハイテク企業が何度も分割を行っています。
分割するとチャートに何が起きるか
調整していない元の価格をそのまま描くと、分割した日に株価が急に何分の一にも落ちたように見えます。株主の財産が実際に減ったわけではないのに、チャートには暴落のように記録されるのです。そのため多くのチャートは、分割前の価格を分割比率で割って計算し直した修正株価を表示します。すると分割の前後が自然につながりますが、代わりに過去の価格が当時実際に取引されていた数字とは違ってきます。数年前のニュースに出ていた株価と今のチャートの同じ日の価格が違うなら、たいていはそのあいだに分割があったためです。
配当はチャートをどう変えるか
配当を受け取る権利は、決められた日までに株を持っている人に与えられます。その権利がなくなる日を権利落ち日といい、この日の株価は理論上、配当金のぶんだけ下がった状態で始まりやすくなります。会社の外に現金が出ていくぶん、株の価値が減るからです。実際の始値はその日の他のニュースや需給も混ざって決まるので、ちょうど配当金のぶんだけ動くわけではありません。米国では決済期間が短くなったことで権利落ち日と基準日がたいてい同じ日になり、韓国では決済期間の関係で権利落ち日が基準日の1日前になるのが一般的です。細かな日程は会社の開示で確認してください。
修正株価にも種類がある
修正株価という言葉は、データ提供元によって意味が少しずつ違います。分割と併合だけを反映するものがいちばん多く、さらに配当まで反映して過去の価格を低く見積もる方式もあります。配当まで反映した価格で描いたチャートは、値上がりに配当収入を加えたトータルリターンに近い姿を示すので、配当の多い銘柄ほど調整していないチャートとの差が大きくなります。同じ銘柄を二つの画面で見て過去の価格や収益率が違うなら、まずこうした調整方法の違いを疑ってみる価値があります。
- 元の価格:当時実際に約定した数字そのまま
- 分割調整:分割・併合の比率だけを反映
- 配当調整:分割に加えて配当も反映し過去の価格を下げる
- 出来高も分割比率に合わせて調整されているか確認
修正株価が生むよくある錯覚
修正株価はチャートを連続して見るための仕組みですが、いくつかの錯覚を生みます。過去にある価格帯で支持や抵抗があったというとき、その価格は修正後の数字なので、当時の人々が実際に見ていた数字とは違います。また、昔の価格がとても小さな数字で出ていると、当時は非常に安かったと感じがちですが、分割を重ねた結果にすぎません。配当調整のデータは新しい配当が出るたびに過去の値が変わることがあるため、以前に書き留めた数字と合わないこともあります。長い期間のチャートは対数目盛で見ると比率の変化を比べやすくなります。
バックテストと収益率計算での注意
過去のデータで戦略を試したり収益率を計算したりするときは、どの価格を使うかで結果が大きく変わります。分割を反映していない元の価格を使うと分割日に偽の暴落が生じ、損切りのルールがおかしなところで働きます。配当を反映しなければ配当の多い銘柄の成績を低く見積もることになり、逆に配当調整後の価格で売買シグナルを計算すると、その日のチャートで実際に見えていた価格とは違う地点でシグナルが出ることがあります。結果を見るときは、どのデータを使ったかを合わせて確かめる習慣が必要です。
このサイトのリアルタイムツールで確かめる
株の戦略バックテスターで同じ銘柄を長い期間にわたって試すと、データの期間や条件が結果にどれほど影響するかが分かります。配当金計算機では配当が積み上がったときの金額を別に計算でき、株の銘柄比較ツールで配当の多い銘柄と少ない銘柄を並べれば、価格チャートだけで成績を比べるときに生じる差を推し量れます。各ツールがどの基準の価格を使っているか、まず説明を読んでみてください。
まとめと注意
分割と併合は単位を変えるだけで価値を変えませんが、チャートでは過去の価格を計算し直させます。配当は権利落ち日に価格を調整し、データによっては過去の価格に反映されることもあります。チャートを比べたり過去の成績を見たりするときは、どの修正株価なのかをまず確認してください。分割の発表そのものが会社の価値を高めるわけではない点も覚えておくとよいでしょう。この記事は投資助言ではなく、特定銘柄の売買を勧めるものではありません。
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